(注)これから紹介する店舗は既に閉店しています
Contents
1:移り変わるメイド業態
喫茶店から始まったメイド業態も、資格がなくても施術のできる足裏を施術するリフレクソロジーを取り入れ一世を風靡した「メイドリフレ」。
カフェの店舗も供給の余地ありと系列店を開店させたり併設したりと、その需要を取り込もうと隆盛を極めた一時代がありました。
そのようなリフレクソロジーも一旦その盛り上がりが収まったところで、様々な業態が派生して「メイド」と名の付くサービスが増えていった結果、店舗の営業自体を変えずに服装だけをメイド服へ替えサービスに付加価値を付けていく、という流れもできていきました。
中でもゲームセンターはアニメ関連と親和性があり、店員の制服を「メイド服」に着せ替えることで俗に呼ばれる「メイドゲーセン」なるものが生まれました。
このような不特定多数が容易に出入りでき、店員も日常の業務(サービス)に影響することなくメイド服への認知を広めることができる業態として
「パチンコ店」
も見逃すことができません。
特にアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のヒットにより、そのコンテンツがパチンコ台へ移植された際も、パチンコユーザのみならずパチンコに触れたことのない層への訴求が強く広まりました。
「パチンコ」という業種にアニメコンテンツが以前にもまして取り込まれたことによって、親和性はかなり深まったと思います。
となれば、秋葉原を発信源としたアニメ関連に強い結びつきのある「メイド文化」とアニメコンテンツのパチンコ需要が強まるこの関係に、遂に「パチンコ店の服装をメイド服に」という潮流が生まれました。結果
「一般的なパチンコ店」
を
「メイドさんがいるパチンコ店」
へと業態変更した店舗が現れたのです。
アニメ関連の台でパチンコ店へ集客を訴求すると同時にメイドさんがいることで新規客の獲得するという、メイド服を集客のツールとして活用されることになったわけです。
時に2006年、ドラマ「電車男」のヒットによりメイド産業の更なる認知度が広がる中、このあたりから開店(リニューアル)してメイドさんがいるパチンコ店が出現し始めるのでした。
そしてこの流れはブームにあやかり大きく広がるかに見えましたが…
2:一過性だったメイドパチンコ店
それからはメイドさんがいるホールが散見されるようになり、加えてアニメ関連のキャラに扮するコスプレ店員を構える店舗も増え、コスプレの一つとしてメイド服の認知度向上ができたかのように見えました。
しかしながらメイドさんがいる事でのメリットはそこまで大きくなかったのか、パチンコ業界ではそこまでメイド服へ変更する店舗というのは爆発的に増えるという事はありませんでした。
流行りものとして急先鋒過ぎたのか、経営側と魅力的なコンテンツと映らなかったのか、それとも…
残念なことにゲームセンターで見られたようなコスプレをした営業というものは、パチンコ業界ではまだまだメイドコンテンツがサブカルチャーの一端で、市民権を得る程広く浸透しなかったようです。
先述したリフレクソロジーと同じようにメイドの業態は様々に派生し、そしてある業種は生き残り、ある業種は消えていきました。
「メイドさんがいるパチンコ店」は残念ながら後者になり2021年現在はその業態を見る事は叶いません。
パチンコ店でのこのようなメイド服への衣装変更は、私が伺った2店舗に限らず秋葉原を始め全国で試みられた店舗もあったかと思います。
ですが私の巡店の遅さと巡り会わせのタイミングで、立ち会うことができたのは今回紹介する以下の店舗のみです。
これから紹介する店舗は私が実際に過去に伺ったメイドパチンコ店でしたので、この2店舗での体験談をご紹介したいと思います。
3:メイドインラスベガス【静岡市葵区】
伺った日
2006年3月23日
お店の場所
JR東海道線静岡駅から徒歩3分ほどのところにありました。
地下道を使い北西に向かって歩いて地上に出れば雨の日でも不便なく向かえる場所でした。
感想
1階2階を利用したツーフロアで営業されていた店舗で1階がパチンコフロア、2階がスロットフロアで分けられそれぞれのフロアにおいて全員の女性従業員がメイド服を着ていたのを憶えています。
特に2階のスロットフロアは、パチンコよりもメイドさんと接触しやすいのか、当時「店員が客の代わりにボーナスを揃える」という行為が問題視されていなかったこともあり、ボーナス成立時にわざわざ代わりに押してもらうなど「メイドさんとコミュニケーションをとる」目的として来店している方をたくさん見かけました。
押すきっかけができれば話すきっかけになるもので、この風景は数度来店して毎度のように見受けられ、スロットフロアのメイドさんはノリが良く、常連さんらしき方とよくお話ししていたのも印象に残っています。
逆にパチンココーナーは入賞時の箱交換時に接触する機会がありますが、スロットと違い手を離せず入賞が続くのでメイドさんとの接点はそこまで高くなかった印象でした。
景品カウンターは当店を利用しなかったため全く覚えがありませんが、景品類に主だった萌え系の取り揃えはなかったかと思います。
2軒目の下記の店舗に比べるとメイド服を使用することでの集客にうまく利用できた店舗と感じました。
2、3年後閉店してしまい、建物そのものが取り壊され新たなビルが立ち並び今やその面影を見る事はできません。
店舗情報
店名:メイドインラスベガス【閉店】
住所:静岡県静岡市葵区紺屋町9-4
4:はなぷら【京都市右京区】
伺った日
2009年10月7日
お店の場所
JR山陰本線、JR嵯峨野線花園駅から徒歩1分のところにありました。
花園駅上りホームから見下ろして見える駅近な場所で、2021年現在はドラッグストアが入居しており、ビル自体がそのまま残っているので名残のPLAZAのロゴで過去を知る人がいると思います。
感想
花園プラザが正式名称のパチンコ店かと思いますが、地元密着型の店舗の雰囲気があり、地元民からは多分「はなぷら」と呼ばれていたためポイントカードはその愛称になっていたようです。
訪れた日は大阪メイドカフェ巡礼の帰り道で、降りしきる雨の中を駅を降りて向かっていったのを覚えています。
店内はワンフロアで奥の景品カウンターではメイド服を着た店員さんと、ホールを巡回しているメイドさんの計二人がいらっしゃいました。
雰囲気からするとメイド服を着るための従業員ではなく、元から在籍するスタッフが着せられている雰囲気を遠巻きに見ても感じ取れましたので、上記1店舗目に比べると「メイド服を着させて営業している」という店員さんの受け身感が強かった印象でした。
カウンターでは対応の仕方も昔ながらの店舗の雰囲気で実に業務的でしたが、ポイントカードの作成を申し出ると無料で作成することができました。
のちに閉店しますが、大型店に合併され店名変更などで再オープンもすることがなかったようなので小規模経営のパチンコ店かと推測します。
店舗情報
店名:はなぷら【閉店】
住所:京都府京都市右京区花園伊町37
5:メイドパチンコ店を巡ってみて
私が伺った以上の2店舗はメイドパチンコ店巡礼の為に向かったという事ではなく、「メイドインラスベガス」は「メイドカフェメイドール」関連、「はなぷら」は「大阪日本橋メイドカフェ巡礼」関連の一つとして伺いました。
どちらの店舗も共通しているのはメイド服での営業終了ではなく、メイド服業態転向後に服装を戻すことなく閉店しているという点です。
メイド服にしたから閉店したと思われてしまうかもしれませんが、もしかすると経営状態が芳しくない現状を打破するための起爆剤としてメイド服を採用したが、結果芳しくなく閉店したのかもしれません。
私はそう思いたいのですが実際のところはどうだったのか、ご存じの方がいらっしゃったらこの辺りはとても興味深いので伺ってみたいものです。
いずれにせよメイドさんがいるパチンコ店なるものは鳴りを潜めてしまい、類似業態としてメイドゲーセンもゲームセンターそのものの減少、ゲームセンター大手の系列店が生き残ることで個性を出す店舗も減ってしまいました。(中野TRFが有名でしたね)
メイド服とのマッチングでそれぞれの認知度が上がることに期待をしましたが、残念ながらパチンコ業界では今一つ響きませんでした。
これからもメイド服と相乗効果の可能性を賭して未知なる業態が出現することを期待するばかりです。
6:参考資料(私の記憶を補完させて頂いたサイト)
サイトタイトル「ここって昔はパチンコ屋?(ここパチ?)」
静岡:メイドインラスベガス
URL:http://koko-pachi.com/hall/shizuoka.shizuokashi_aoiku.1.0.htm(リンク切れ)
京都:はなぷら
URL:http://koko-pachi.com/hall/kyoto.kyotoshi_ukyoku.0.4.htm(リンク切れ)